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【十五夜スペシャル】かぐや姫は、どんな家に住んでいたのか?
今日は中秋の名月です。
空間社のオフィスからも、雲間に見え隠れするおぼろ月が眺めています。
こちらは、満月の夜に中野区から天体望遠鏡を使って撮影した写真。
光害の多い町中でも、ここまではっきり観察できる天体も、外にはありません。
釣り好きの方ならスマホにはもちろん月齢を確認できる潮汐アプリが入っているものですが、日本人がもっとも慣れ親しんでいるものといえば、やはり竹取物語ではないでしょうか。
リノベ会社に勤める者として気になるのが、「かぐや姫は、どんな家に住んでいたのか?」ということ。
そこで、ちょっと調べてみました。
●さるき邸(Before)
国会図書館所蔵「竹取物語」より
こちらのお施主様は、竹を取っては様々なDIYに使って暮らしていた、さるきのみやつこ(竹取の翁)様。
多くの庶民がまだ竪穴式住居に暮らす中、シティ(都)派のさるき様が構えたのは、写真のようなモダンな茅葺き屋根のお住まい。竹で作られた濡れ縁は、DIYの達人であるご主人によるものです。
近くには小川が流れ、松の木が植えられた風情あるお庭からは、平民ながら最新かつ、ゆとりのライフスタイルが伺えます。
しかしある事件が、そんな慎ましやかな生活に劇的な変化をもたらします。さるき様が竹を採取中、体長約9cmの可愛らしい女の子を保護したのです。
女の子を養子に迎え、三人での新生活が始まりましたが、みるみるうちに大きく育つお嬢様に、既存のお住いでは手狭になってしまいました。
●さるき邸(After)
お嬢様が来てからというもの、竹を切っては中から金が出るという幸運が続いたさるき様。
思い切ってそのお金で、建て替えを決意。そして出来上がったのが、この立派な寝殿造りの家です。
あえて壁を一切設けず、柱を表しにした見通し抜群のオープンなLDK。外周には扉や蔀(しとみ)という開閉可能な建具を備え、必要に応じて光や風をコントロールしています。
間仕切り代わりに使うのは、古き良き屏風や衝立。パーティションのように仕切ることで、ある時には落ち着くサイズの居室に、またある時には取り払って、巨大な空間にしてご親族やお客様を招いてのホームパーティーを楽しめます。
厳選した家具やモノだけを置くシンプルな貴族STYLEを家族で満喫していたさるき夫妻。
しかし、新築後からご夫婦の頭を悩ませていたのが、セキュリティの問題です。
絶世の美女に成長したお嬢様に思い焦がれた多くの男達が、ひと目その姿を見ようと昼夜問わず侵入してきたのです。
悪質な場合は、闇夜にトンネルを掘って侵入する不届き者もいる程でした。
上の絵巻を引きで見ると、お嬢様を狙う輩が押し寄せているのがわかります。
●ホームセキュリティのMIKADO
かぐや姫の魅力は、ついに時の帝(みかど)までも惚れさせてしまいました。
そして帝とかぐや姫が文通を始めて三年が立った頃、月を見ては啜り泣くかぐや姫は「十五夜に月からの使者が向かえにやってきます」とご両親に打ち明けました。
ご夫妻は帝に防犯を依頼し、さるき邸には二千人の警備員が派遣されました。
万全に見えた警備体制でしたが、真夜中頃に雲に乗って降りてきた使者に、兵たちは手に力がなくなって戦えず、射た矢もあらぬ方向に飛んで行きました。
この時ばかりはオープンな間取りが災いして、使者たちの超能力に、締め切っていた戸や格子は即座に開いて、ついにはかぐや姫は車に乗って天に登ってしまいました。
———
必要な家具だけを置き、広いワンルームを可動の仕切りで様々な用途に使い分ける、といった技は意外と現代の住まいでも実践出来るかもしれませんよね。
物語の舞台は奈良時代初期と言われていますが、実はここで引用した古写本が描かれたのはもっと後の時代。その初出さえも判明していないので、本当の原作でどんな家に住んでいたのかは、想像するしかありません。
今夜はお月見をしながら、かぐや姫の住まいを思い描いてみてはいかがでしょうか。
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