『white space』— 余白に美を宿す。
Instagramをきっかけに当社を知ってくださったH様。そのセンスは打ち合わせの初期段階から際立っていました。インテリアに対する「こうしたい」というイメージが明確で、言葉だけでなく、選ばれるビジュアルからもその世界観が伝わってきます。Pinterestで丁寧に集めていただいた数々の参考イメージ。シンプルでナチュラル、そしてどこか静けさを感じる空間たち。その共通項を一つひとつ読み解きながら、H様の理想に寄り添うかたちで空間の設計を進めていきました。
今回のプランの大きなポイントとなったのは、キッチンまわりの動線設計です。ご要望いただいたのは2WAYの回遊動線。玄関土間からキッチンへと抜けられる導線を設けることで、日常の動きに無駄がなく、自然と暮らしやすさが生まれます。その動線の途中には、R開口を採用。やわらかな曲線が空間に奥行きを与え、まるで路地のような心地よい抜け感を演出しています。玄関側はシューズクロークとして、キッチン側はパントリー兼家電収納として機能を分け、使い勝手とデザイン性を両立しました。買い物から帰宅し、そのまま食材を収納できる流れも大きな魅力のひとつです。
LDKは開放感を優先し、最終的に壁付けのI型キッチンを採用しました。当初は対面型も検討していましたが、空間全体の広がりを重視した結果の選択です。視線が抜け、光が奥まで届く伸びやかな空間に。長く伸びるキッチンカウンターには、オーガニックホワイトのシーザーストーンを採用。静かな存在感を持つ白が、空間全体をやさしく引き上げます。そこに食器や小物、アートを飾ることで、まるでギャラリーのような美しい日常が生まれました。壁面にはホワイトの華窯ボーダータイルをスダレ貼りで施工し、繊細な陰影が光を受けて表情を変えます。床には節の表情が豊かなオーク材を使用し、自然素材ならではの温かみをプラス。キッチン収納には、ワントーン明るいホワイトオークを用いた造作扉を取り付け、細部まで丁寧に仕上げました。
感性が導いた、ジャパンディな住まい
リビングにはあえてテレビを置かず、プロジェクターで映像を楽しむスタイルに。余白を大切にしながら、暮らしそのものを楽しむという選択です。全体を白を基調としたトーンでまとめることで統一感を持たせ、リビングドアには大判ガラスの木製框扉を採用。住まいの奥まで自然光が届くよう設計しました。
洗面スペースには、テラゾー調のシーザーストーンを採用し、上質で清潔感のある空間に仕上げています。日常使いの場所でありながら、ふと気持ちが整うような落ち着いた雰囲気。主寝室にはウォークインクローゼットを設け、収納力を確保。さらに、物件購入時に引き継いだキャビネットをそのまま活用することで、新しさの中にこれまでの時間も自然に溶け込ませました。
トイレはドアの位置を廊下側へ移動し、室内にほんのり遊び心をプラス。ダウンライトだけでまとめるのではなく、ブラケットとペンダント照明を組み合わせて光に変化を付けました。ペンダントはH様ご自身が選ばれたものを設置しました。空間にさりげない個性が宿ります。床には玄関土間と同様に、洗い出しの質感を再現したタイルを採用し、住まい全体の統一感を意識しました。
全体として目指したのは、ジャパンディテイストの住まい。和と北欧、それぞれの美意識が静かに調和する空間です。過度な装飾を避け、素材そのものの質感を大切にすることで、心地よさと美しさが共存する住まいが完成しました。
丁寧に選び抜かれた素材と、暮らしに寄り添う設計。その積み重ねによって生まれたのは、静かでありながら確かな存在感を持つ空間。感性と暮らしが、心地よく重なり合う住まいです。
RENOVATION PLAN
DATA
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施工主 |
文京区H邸 |
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物件種別 |
中古マンション |
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築年数 |
築54年 |
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施工面積 |
71.81㎡ |
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施工期間 |
3ヶ月 |
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工事箇所 |
全面 |
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工事費 |
2,200万円(設計料込) |
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物件番号 |
145 |