HOME > スタッフブログ > テーマ

【てくてく空間社 -ep.1-】諏訪リノベ探訪

  • 投稿日:2017年03月29日
  • カテゴリー:コラム

Bookmark this on Google Bookmarks

はじまりました、新シリーズ『てくてく空間社』(思いつき)。
空間社メンバーが訪れた街や建築、おすすめのお店などなどを、気ままにご紹介します。
記念すべき第一回目は長野県は諏訪エリアをてくてく。
中山道と甲州街道が交わる温泉宿場町として古くから多くの旅人が行き交い栄えてきた場所で、
御柱祭で有名な諏訪大社があり、豊かな水資源と気候を活かした味噌蔵や酒蔵が
あちこちに点在しています。顔ぶれはワタクシ広報・中山とハムロ、ヨシダのトリオです。

map2

今回最大の目的は2016年10月に上諏訪駅から徒歩10分のところにオープンした
「ReBuilding Center JAPAN」(以下”リビセン”)です。今回はなんと!
代表の東野(あずの)唯史さんのガイド付きで見学をさせていただきました。

「ReBuilding Center」は元々、米国オレゴン州・ポートランドにある建築建材のリサイクルショップ。
市街地にあって、敷地面積はなんと5000㎡(!)。一日に8トンもの古材が出入りし、
年間2000人のボランティアを受け入れているそうです。ポートランドでは解体現場から出た
古材を再販売する「サルベージショップ」が他にもたくさんあり、ボランティア活動のさかんな
地域コミュニティに、文化として根付いていると東野さんはいいます。

ポートランドにあるリビセン。

ポートランドにあるリビセン。

見捨てられる古材を「レスキュー」

日本にも古材屋さんはあるけれど、建築業者向けで一般の人が利用しにくかったり、
車がないとそもそも行けないような場所にあることが多いのだとか。

そこで東野さんは、都内から電車で二時間半で行ける上諏訪駅の近く、かつては建築会社の営業所で
ずっと廃墟ビルだった建物をリノベーション。カフェも併設して、誰でも気軽に来れる古材ショップとして
リビルディングセンター・ジャパンを設立しました。

そんな”リビセン”が中心的に行っているのは、古物や古材、建具などの「レスキュー」活動。
「世の中に見捨てられたものに価値を見出し、再利用する文化を作っていきたい」と東野さん。
この「レスキュー」には、大事に住み続けてきた/使い続けてきた建物を解体するオーナーさんの
無念さ、寂しさといった心のレスキュー、という意味も含まれています。
“リビセン”設立後、70件以上の「レスキュー」を行ってきたといいます。

雑誌などで有名になった"リビセン"の顔、廃材の窓を組み合わせて制作した入り口を室内から見る

雑誌などで有名になった”リビセン”の顔、廃材の窓を組み合わせて制作した入り口を室内から見る。手前のテーブルは併設カフェのもので、これまた廃材を組み合わせて制作したもの。


家具や古道具が並ぶ2階の売り場。

家具や古道具が並ぶ2階の売り場。

一階にあるカフェカウンター。普通は捨ててしまうような古材や端材を細かく組み合わせてあります。

一階にあるカフェカウンター。普通は捨ててしまうような古材や端材を細かく組み合わせてあります。

古材の物語を語り継ぐ・・

廃業した近所の老舗パン屋さんの例では、建材や小道具だけでなく、紙袋もレスキュー。
カフェで販売している焼き菓子などの包装に使っているそうで、今は無きパン屋さんの袋を
持ち歩く人の姿を、今でも街で見かける、というエピソードにほっこりしてしまいます。
カフェからも眺められる一階の古材売り場にも、
「あれは養蚕をやっていた家から出た古材で、お蚕さまを育てる棚だった板です。こっちは・・・」
というように、のひとつひとつ物語があることがとても印象に残りました。
リノベした家で、「ここの板は、元々〇〇で~」なんて語れたら、とってもステキなことですよね。

近所のパン屋さんからレスキューした紙袋。

近所のパン屋さんからレスキューした紙袋。

こちらは古材売り場。一枚一枚にストーリーがあるのがおもしろい。

こちらは古材売り場。一枚一枚にストーリーがあるのがおもしろい。


ふと古材に近寄って見ると、使い込まれた形跡が。何かの職人さんの家にでもあったのだろうか・・

ふと古材に近寄って見ると、使い込まれた形跡が。何かの職人さんの家にでもあったのだろうか・・

捨てられてしまう傷物の果物などもレスキュー販売。カフェの看板メニュー、カレーが絶品。

捨てられてしまう傷物の果物などもレスキュー販売。カフェの看板メニュー、カレーが絶品。

階段下のくつろぎスペース。建物と再利用した建材の素材感が絶妙な感じ。

階段下のくつろぎスペース。建物と再利用した建材の素材感が絶妙な感じ。

きっかけは、マスヤゲストハウスのリノベーション
そもそも、メヂカラとしてご夫婦でリノベーションの空間デザインを手がけてきた東野さんが
上諏訪に拠点を構えたのは、諏訪湖のほとりにあるマスヤゲストハウスのプロジェクトがきっかけだったといいます。
泊まり込みでオーナーや施主と工事を進めているうちに街を気に入り、以前からお持ちだった
“レスキューする古材屋”の想いを、ここ上諏訪で実現することになったそうです。
今回はそのマスヤゲストハウスさんも見学させていただきました。

マスヤゲストハウスの入り口。煉瓦造りの塀がいかしてます。

マスヤゲストハウスの入り口。煉瓦造りの塀がいかしてます。

新しいものを追加するより、既存素材のコンバージョン

マスヤゲストハウスでは、自らリノベーション工事にも参加した女将さん、
斉藤希生子さんにガイドをしていただきました。
106年以上前からあった「ますや旅館」。東野さんによるリノベーションの手法もユニークで、
解体から内装仕上げに至るまで、すべてをプロの工務店や職人に発注するのではなく、
手伝いをしてくれる仲間を募り、元のオーナーさんやご近所さんも含めたコミュニティを醸成しながら
進めていくというもの。その時々のメンバーの個性やアイデアも反映しながら、場作りをしたそうです。

使用する部材も、解体する窓のガラスを別の部屋に新たに作る窓に当てはめたり、
取り壊した土壁の土を捨てずに再利用するなど、”リビセン”で見た「レスキュー」
の精神がここでも徹底されていたことがわかります。

老舗旅館の趣を残しつつ、「明るい! 風が通る! 暖かい!」をコンセプトにリノベーション

老舗旅館の趣を残しつつ、「明るい! 風が通る! 暖かい!」をコンセプトにリノベーション


宿泊者が自炊をするための共用キッチン。窓は解体時にあちこちで出たガラスを再利用。

宿泊者が自炊をするための共用キッチン。窓は解体時にあちこちで出たガラスを再利用。


リビングにはバーカウンターがあり、夜は宿泊者以外でもふらりと寄って呑めるのだそう

リビングにはバーカウンターがあり、夜は宿泊者以外でもふらりと寄って呑めるのだそう


共用の洗面。

共用の洗面。

「ホワイトルーム」と呼ばれる多目的スペースには、「ノラネコ百貨店」さんが器のショップを出展されていました。うつわ好きのハムロが爆買いしかけていました。

「ホワイトルーム」と呼ばれる多目的スペースには、「ノラネコ百貨店」さんが器のショップを出展されていました。うつわ好きのハムロが爆買いしかけていました。

リノベ=モノや想いを継承すること?
今回てくてくした”リビセン”周辺には、看板建築の建物や古民家などがたくさん。
それも、たまに地方都市で見る退廃的イメージとは違って、誰か丁寧に手入れをする人がいて、
現役で使われ続けている印象があり、懐かしく穏やかな町並みの情景を醸していました。
僕は趣味で廃墟をよく訪れますが、人影の消えた建物は驚くような速度で朽ちていきます。
きっとこの街は、建物を守り受け継いでいく文化も根付いているんじゃないかな、
と感じさせられました。

PAGE TOP