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素材を深掘り! NY地下鉄の歴史に埋もれた幻の駅

  • 投稿日:2017年02月9日
  • カテゴリー:コラム

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リノベーションでの人気の素材のひとつに、
「サブウェイタイル」があります。
キッチンや洗面、お風呂などの水廻りにぴったりで、
清潔でちょっとレトロなイメージを演出することができます。

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今日はこのサブウェイタイルを深掘り!
その歴史を辿ってみましょう。

113年前、アーツ・アンド・クラフツ運動の芸術家によって誕生

サブウェイタイルのルーツは、1904年に開業したニューヨーク初の地下鉄にあります。
内装のデザインを手掛けたのは当時アーツ・アンド・クラフツ運動の一員だった
芸術家ユニット「ヘインズ&ラファージュ」で、このとき始めてホームや改札階などの
至る所にタイル装飾が採用されました。カラフルなモザイクタイルも多く使われていますが、
ベーシックな白のタイルが住宅用にも取り入れられ、今日に至っています。

建築当時のタイルアートは大切に修理、保存されながら現在も使用されており、
実際にニューヨークの各駅で見ることができます。
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しかし、113年の歴史の中で、
最高傑作とされながらも廃止されてしまった駅もあります。

それが、下のイラストの市庁舎駅(City Hall Station)。
建設当時、アメリカで最も歴史の古いニューヨーク市庁舎の
威厳にそぐうデザインが求められ、スペイン出身の建築家、
ラファエル・グアスタビーノにより設計されました。

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グアスタビーノは1881年の渡米以前はバルセロナでアントニ・ガウディに師事していた人物で、
アメリカ国立自然史博物館、最高裁判所、カーネギー・ホールなど数々の歴史的建築に
参画していながら、建物そのものは他の建築家によるものだったため、
その名前が出ることがほとんどないという不遇の巨匠です。

グアスタビーノの最も大きな功績が、市庁舎駅にも採用された
「グアスタビーノ・タイル(1885年特許取得)」と呼ばれるタイルアーチ構造です。
タイルをアーチやドーム天井の曲面に沿って敷き詰めることで耐火性や堅牢性を高め、
同時に柔軟なデザイン性も獲得しているのが特長。使用するタイルは厚さ25mm以下、
150mm×300mmのサイズに規格化されていました。

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NYの地下にひっそりと眠る名建築

市庁舎駅にはロマネスク・リヴァイバル様式が採用され、ホームや改札階は
色ガラスを使用した採光窓や真鍮のシャンデリアで優雅に装飾されました。
特に、アーチを覆う色とりどりのタイルは多くのニューヨーカーに愛されていたといいます。
しかし、優れたデザインも時代の流れには逆らえず、近くにより便利な路線の駅が完成し
1日の利用者数がわずか600人に落ち込んだこと、ホームの延長工事が難しいことなどを理由に、
1945年12月31日をもって閉鎖されました。
写真は、現在の市庁舎駅(上)と、建設当時の市庁舎駅(下)。
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City_Hall_Subway_station

 現在も一部の電車が通過しているため、当時の面影を残すホームを車窓から眺めることはできます。
しかしシャンデリアの灯りは落とされ、稀に開催される見学ツアーのお客さんが訪れるとき以外は、
薄暗い地下でただひっそりと佇んでいます。

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